印を愛する心
印は中国で誕生した。印を愛し印を語る心が、中国の風土の中で育ち、中国の高貴な文化として連綿として受けつがれてきた。
日本においても、中国と同じような風土や文化的伝統の中で、印を愛する心が育まれてきた。
印を愛する心とは、印自体が持つ美への憧憬である。印ほど比例均衡の美を発揮しているものはないとさえ思える。
・・・私たちが美術史から学ぶ法隆寺五重塔の比例均衡の美しさや安定感、唐招提寺のエンタシスのある柱がただよわせる調和美も、薬師寺三重塔の均整のとれた裳階の美しさも、総てが美の健康性に基づいている。しかし、これらの美しさを包蔵し、秘蔵し、具現しているものが、均衡の美を持った印影といえないだろうか。
日本の印象 (株)新人物往来社 山口平八 著